STはるの研鑽記

老健STが孤独にめげず自己研鑽に励むブログです。

新型コロナウイルスと誤嚥性肺炎

 年末より新型コロナウイルスの第8波が猛威を奮っています。不幸にも亡くなる方が急増しています。そんな中、興味深いニュースを目にしました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20221229-00330382

 高齢者施設でクラスターが相次いでいますが、コロナウイルス感染後に誤嚥性肺炎を発症する方が増えているようです。この記事にもある通り、細菌性肺炎であり、コロナ禍初期の肺炎とは異なっています。つまり、コロナ感染後に臥床時間の延長によるフレイルから嚥下障害が進行し、誤嚥を繰り返した結果、新たな細菌性の感染症に発症したということでしょう。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/10/109_2142/_article/-char/ja

 加齢に伴う咳反射の低下と誤嚥性肺炎の関係についてはこちらの論文に詳しく記載されています。嚥下機能の予備能力が低下した場合、呼吸状態が重要になってくることは一般的に言われており、私も同意するところです。しかし、咳反射がコロナウイルスで亢進するのであれば、誤嚥性肺炎が増えている状況と矛盾してはいます。

 また、私個人の見解ではありますが、これらの二次的感染症は、クラスターによる施設環境の変化も原因にあるのではと考えています。感染拡大を防ぐため、個室での食事対応となる施設が多いですが、目が届かない環境は患者さんの変化に気付きにくいものです。たとえ定期的にラウンドを行っていてもです。加えて職員の感染による人員不足から、業務の逼迫や連携のゆるみが生まれます。当たり前に出来ていた日々のケアが忘れられることもあるでしょう。施設内での感染拡大という非常事態において、いかに利用者さんを守っていくかは今後の課題だと思います。

 誤嚥性肺炎に限れば、口腔ケアを適切に行うだけでも変わると思います。誤嚥したものに含まれる細菌は、多くは口の中にいます。絶対ではないですが、口の雑菌が減った分だけ、肺炎リスクは減少すると考えられています。