STはるの研鑽記

老健STが孤独にめげず自己研鑽に励むブログです。

SK式食事場面嚥下機能アセスメント

 はるの職場は老健です。病院併設の施設ですが、いわゆる嚥下造影(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)は行っていません。そのため、食事観察や水飲みテスト、口腔機能評価など機器を使用しない方法で嚥下機能の評価を行っています。はるは通常、食事評価と並行して、「MASA 日本語版嚥下障害アセスメント」と言われる評価を取らせてもらっています。この評価一つで、認知機能、発声発語器官の機能評価を行いながら、嚥下の各期の病態を細かくとらえることが出来るため大変重宝しています。

 しかし、この職場では認知機能が進行し、指示理解がほとんど困難な利用者様も多数いらっしゃいます。そのため、食事評価のみでどこまで機能評価の精度を上げていくかがはるの積年の課題でした。

 そんな中、言語聴覚研究VOL.19  No.4『食事場面における嚥下機能評価法(SK式食事場面嚥下機能アセスメント)の信頼性と妥当性の検討』という論文を目にしました。SK式とは、この評価法を開発した「社会医療法人共愛会(Socal medical corporation Kyoaikai)」の頭文字を取ったものとのことです。

 

 「より詳細な評価法として嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査がある。~略~これらの検査は認知機能が低下した患者では、検査時の結果と実際の食事場面の評価に相違があることを経験する。~略~訓練の成果を判定するためにこられの検査、いわゆる出来る能力の評価は重要であるが、実際の食事場面で安全に食べられているかを評価するしている能力の評価も重要である。(論文より抜粋)」

 まさしく私が感じていたことであります。ちなみにネットでも無料でダウンロード可能です。

  • SK式 食事場面 嚥下機能アセスメントシート(自己摂取版)
  • SK式 食事場面 嚥下機能アセスメントシート(食事介助版)
  •  まず私が感じたことは、MASAや摂食嚥下リハ学会の作成評価マニュアルの内容を取り入れられており、①呼吸などの全身状態、歯列、姿勢、コミュニケション能力など導入部分も取りこぼしなく含まれている。②各期に合わせ細かい評価の段階が設けられている③観察のみで行えるため、全項目認知機能が低下した方も評価可能④紙一枚で点数化まで出来る。こんなところでしょうか。MASAとの強い相関関係も認められており、手順が簡便であるため経験年数により評価が分かれないという面で優れているとも思われます。一方で食事場面を対象としているため、経口摂取を開始する場面での機能評価が対象となっていないことや、点数化された重症度をいかに臨床に生かすかなどが課題になってくるものと考えます。徐々に実施件数が増え運用方法が出来上がってくるのでしょう。その一助になるべく実践していきたいと思っています。

お付き合いいただきありがとうございました。

 

MASAのスコアシートもネットで掲載されています。マニュアル化もされていますが、そちらは書籍として販売されています。

MASAスコアシート.indd (ishiyaku.co.jp)

摂食嚥下リハ学会公式の嚥下評価マニュアルです。

assessment2019-announce.pdf (jsdr.or.jp)